11 March 2024

紀伊国屋書店さんでのイベント

昨日の紀伊國屋書店東戸塚店での『あかちゃんのおさんぽえほん』の読み聞かせとミニトークイベントに来てくださったみなさま、本当にありがとうございました。 
Book launch event at my local book shop!
自分の絵本は制作過程であまりに何度も改稿しているせいで、旧バージョンと混同して案外読み間違いが多い。ちょっとだけ声に出して練習をしていると、カブカに「読んであげる!」っと絵本を取り上げられることが続いた。やらせてみたらなかなか上手だったので、「それなら本番もカブカがやってよ」ということに。お客さんを前に2冊をカラスは身振り付きで読んでくれた。
ミニトークは、絵本ができた背景である娘との遊びや、子育てを通じてわたしが感じた生き物に親しむこと、絵本の読み聞かせについてお話しさせていただいた。 
夫はカブカの写真しか撮ってくれていなかった(笑)ので、写真の多くは参加してくださったMさんからお借りしました。
少しだけ画材のディスプレイも。
母がレゴでカラスと柿、たんぽぽのはらを作ってくれた! ちょっぴりハシボソっぽくて、「カラスが があ!」になりそうだけど、うれしい。

4 March 2024

『あかちゃんの おさんぽえほん』

あかちゃんの おさんぽえほん』という3冊セットの赤ちゃん絵本が3月6日に福音館書店から出る。
3冊のタイトルは『あ!てんとうむし』、『からすが かあ!』、『たんぽぽのはら』で、それぞれ単品でも購入できる。書店によってはケース入りセットは注文扱いになるところもあるようだ。
かわいい装丁は中嶋香織さん! 生き物についてのチェックを柴田佳秀さんにお願いした。
My three board books for baby will come out very soon on the 6th March from Fukuinkan Shoten Publishers. They are "Look, a Ladybird!", "Crows Go Caw" and "Dandelion Meadow." They come as a box set but you can also buy one another separately. 
These three are my 8th, 9th and 10th picture books that I wrote and illustrated.  My first publication was "Weihnachtsspuren im Winterwald" in 2014 so this means ten books in ten years! Not bad!  
 これまでに作った絵本はカブカが生まれる前かお腹にいるときにお話を作ったものだったので、この3冊がカブカを観察し一緒に遊ぶ中で作った初めての絵本になった。

 わたしも夫も趣味の自然観察を子どもが生まれても続けたかったのと、環境教育ーー自然好きな子に育てるーーに興味があったので、半ば実験的に(カブカ、ごめん!)どうやったら生き物好きな子になるかと思いながら子育てをしてきた。 アンパンマンやミッキーマウス、消防車、電車などは子どもが絶対に好きになると言われるけれど、赤ちゃんが自分でそれらを探し出してくることはできないので一番初めはなんらかの形で大人が与えていることになる。大人が与える小物や洋服の柄が、例えばどれもカワセミやメジロだったら、鳥は"大好きなキャラクター"になり得るのだろうか。それでも、いわゆるキャラクターと並んだらやっぱり勝てないのだろうか、などなど興味を持って乳幼児観察をしていた。そして日常会話の中で、消防車、救急車、パトカー、タクシー、ゴミ収集車などをただ「車」としないで種別で呼ぶのと同じように、鳥や動物、植物もできるかぎり「鳥さん」などとしないで、種名で言うようにしてみた。その"教育"の成果は1歳半にもなると現れてきて、わたしのコーヒーカップについている絵と、『あおのじかん』に出てくる絵は同じ"アオガラ"だと気づき、同じだと指差して喜んでくれるようになった。最初に発した約110語の中にも「アーアーッ(カラス)」、「アイ(アリ)」、「ヒヨ(ヒヨドリ)」、「ハチ(ハト)」、「メー(メジロ)」、「パフ(パフィン=ツノメドリ)」、「テッ(テントウムシ)」、「ターシー(カワセミ)」などの言葉が入っていた。(これはそれだけ、親が鳥や虫の話ばかりしていたせいだとも言う。)

わたしが育てたのはカブカ1人、サンプル数1なので大それたことは何も言えないけれど、赤ちゃんはやっぱり身近にある絵柄に親近感を覚えるし、同じ柄、物を何度も見聞きすることでそれを覚えてくれることもわかった。そうとなると、やっぱり赤ちゃんが身近に見られる自然についての絵本がほしい。
でも書店や図書館の赤ちゃん絵本のコーナーにいくと、ライオンやキリンが出てくるものはあっても、日本の自然の絵本は本当に少なかった。それならと思って作り始めたのがこの赤ちゃん絵本だった。
福音館書店が発行する「あのね」2024年3月号にも制作話を少し書かせていただいた。web上でも「あのねエッセイ」として公開されている。

The first book I wrote among the three was the "Crow Go Caw."  Because crow was the first bird my girl recognised and pointed with her fingers.   The "ah ah" word imitating the sound of crow was in one of the first thirty words she spoke. Sparrows and starlings seemed to be too small for a one-year old to watch but she could pick up a big black bird. 

赤ちゃんとの時間を過ごす中で、0歳向けの絵本はある意味で親のための絵本でもあるなあと感じた。泣く以外の反応が薄くどう一緒に遊んで良いのかわからない時期、疲れて何もする気がおきない時間、一緒に寝転がり絵本を声に出して読んでいると楽しい時間が過ごせた。ただ絵が並んでいるだけのあまりに単純な絵や内容の本だと、親のほうがどう楽しんで良いのかわからなくなる。きれいな絵でストーリーがあると親も楽しめ、結果的に赤ちゃんにとっても良い時間を共有できる気がした。そんなことから、内容は1歳と2歳児向けだけれど、0歳児がめくって遊べるボードブックという形にこだわって作ってもらった。
Artworks are made by rubber stamps and linocut. I intended to take photos of the step by step creative process but making three books at the same time was a little too chaotic and I forgot about it. Here are some that I managed to take. 
技法は、消しゴムはんことリノリウム版画。

Sanan Bin Suvarnabhumi

Back to Bangkok, we saw my father, had dinner with many birdwatching friends, went to Suan Lumpini and watched more birds, got on a swan boat, ate many many Thai sweets including Chao Kuai and Khao niao Mamuang (thanks to Hong!). 
Our flight back to Japan delayed for an hour and a half. So we spent our last hours drawing "Vishnu Kurmavatara and the churning of the Milk Ocean" at the airport.
飛行機が遅れたので空港で時間を持て余した。
カブカが「これでも描くか」と言いだしたのがセキュリティーを通過し出国手続きをした人がまず目にするモニュメント「乳海攪拌の彫刻」。よくこんなものを描こうと思うなあと思いながら、わたしも付き合って描いてみた。
今回出かけてみて、もっとカブカに英語教育しておけば良かったとはちょっと思ったけれど、50くらいの英単語と覚えたての12くらいタイ語で、物おじもせずに外国人と遊んで笑い転げている姿を見ると、そのうちできるようになるさ、という気もした。
絵を描いてはみんなから「ゲーンマーク カ(上手!)」と言ってもらえて大得意だった。そして最後には「ホーンクナーム ユー ティーナイカ(トイレはどこですか?)」と自分でお店の人に聞いて教えてもらえるようにもなっていた。
カブカは大きな音も、強い匂いも苦手だったので心配していたけれど、バンコクのあまりの騒音に怯えてばかりはいられなかったらしく気づけば適応していちいち耳を塞がなくなっていた。帰国してからも「バイクの音、もう平気!」 
でも幼稚園で「先生にもお友達にもタイどうだったーって聞かれたから、うんとうんと暑くて、下水くさいの!って答えたの」だそう。 
まだ適応力が高いうちに、全く違う環境を体験させておくのは、けっこう大切なのかもしれない。

3 March 2024

Pae Baan Baan

We spent two nights in Uthaithani at a floating house on the Sakae Krang river. 
ウタイタニーのサケークラン川に浮かぶフローティングハウスに滞在し、のんびりスケッチしたり、朝から鳥を見たり、魚を見たりした。ホテイアオイがどんどん流れていく。
Ruchiからパステルを借りて、下地に少し塗ってみた。
Everyone drew the same scenery!
カブカがこの絵に描いた魚はタイ語でplaa suaというらしい(虎魚の意味)。
ベビーシッターとしてついてきてくれた母だけでなく、みんながカブカと遊んでくれたので、インド式?折り紙飛行機の折り方やら、タイの手遊びまで習ってきた。
スキハシコウ Asian Openbill 
We saw them flying all the time but it was nice to find one sitting on a tree across the river in front of the floating house.
同じ竹にアジアコビトウ、ハリオハチクイ、ハシナガバンケン。描けなかったけど実はカノコバトとベニバトまで止まっていた。
オウチュウ (Black Drongo) 

We also visited Hup Pa Tat Cave and saw the very rare Variable Limestone Babbler, another one of my lifer birds! 
And sketched this White-rumped Shama.
インドから来た友達が、木の花の名前をたくさん知っていた。植生が似ているんだなあ。
「沙羅双樹の花の色……」のサラソウジュと混同され、タイ語やインド系の言葉ではどちらもサラと言われている。そのためあちこちお寺にも植えられているらしい。でも植物学的には違って、こちらは和名ホウガンノキ、英名Cannonball treeで、南米原産のサガリバナ科らしい。

Huai Kha Khaeng Wildlife Sanctuary

And thanks to P'Jeed, my bird watching friend of 20 years, we made a trip to Utaitani. Although I have a father in Thailand, I know that I would not have visited Thailand as often as I had if I didn't meet P'Jeed on the birding trip to Doi Pui in 2004. It is always the amazing nature trips that made me want to go back to Thailand again! 

This time, we spent a whole day in Huai Kha Khaeng Wildlife Sanctuary.
フゥアイカーケン野生動物保護区を訪ねた。タイ語でテンラン(Teng Rung) Forest と呼ばれる落葉広葉樹の森で、乾季なので落ち葉が多い。フタバガキ系の種なども落ちていた。
Banteng from the tower hide. 
タワーハイドからバンテンを見た。
お乳を飲んでいる子がいて、時折オスに押しのけられていた。
カブカ作のバンテン。
I was very pleased to see Green Peafowl and to learn the difference between the Indian one. 
マクジャクがいた。動物園などでよく見るインドクジャクと色味がいろいろ違う。スケッチはできなかったけれど、キツツキ類も数種類見た。
Common Butterfly Lizard.
このド派手なトカゲは、地面にたくさんいた。
図鑑ですら見たこともない生き物を観察して描くのは難しい。はじめカブカが描いたトカゲには足がなかったので、「足は?」と指摘したら、「え、これヘビじゃないの?」  草に隠れてよく足が見えなかったのでヘビだと思って描いていたらしい!
コウハシショウビン Stork-billed Kingfisher was my lifer bird.
アオショウビンだってうれしい。
Indian Roller インドブッポウソウ
I have to admit that my little one sketched more birds than I did.
ベビーシッターでついてきてくれた母がスコープを一台担いでくれたので、わたしもカブカも一台ずつスコープをのぞくことができて、けっこう鳥もスケッチできた。一瞬で特徴を捉えてしまうカブカの能力、すごい。
The bill colour is wrong but this is Green-billed Malkoha!

Reunion with Cambridge friends

ミラクル・タイ旅行から帰ってきた。わたしがカブカを連れてタイに行くと言ったら、ケンブリッジで一緒に勉強し、一緒に暮らしていた2人が、それならタイまで会いに行くっと集まってくれて実現した旅だった。3人が揃うのはたぶん10年以上ぶり。
We came back from the miracle Thailand trip! The idea of this trip was to let my daughter see my father and my Thai friends. And to meet up with my Cambridge days' best friends, Ruchi and Rosemary, somewhere in the "middle." It was very unfair for Rosemary to fly from Rochester, NY but we did get together after so many years!!
カブカにとっては初のNEX(もうあんまり喜ばなかったけど)、初の飛行機、初の外国。空港で絵本『のびる じどうしゃ』に出てくるハイリフトローダーを見つけた。わたしはこれまで飛行機には何度も乗っているけれど、こんなに良く眺めたのは初めてだった。
「ほーら見てごらん! 雲の完全に上だー。雲の上は晴れだねえ」
インドのバンガロールから飛んできたルーチーたち夫婦と、ニューヨーク州ロチェスターから地球を半周してきたローズマリーとバンコクで落ち合い、はやり同じコースで学んでいたバンコクに住むホーンの案内で、バーンルアン運河沿いのアーティスツハウスに行き、みんなでのんびりスケッチした。

It has been years since I last been in Thailand.  With very weak Japanese yen and high prices, everything felt very expensive!   
Thanks to Hong, Rosemary and Ruchi, Archit and my family spent a nice afternoon at Artist's House at Khlong Bang Luang. We sketched the canal scenery together and talked about our days in Cambridge, works, life, culture and art. And, of course, our mind was always with our great tutor Prof. Martin Salisbury.
カブカもいっぱしに、誰よりもたくさんスケッチしていた。
Living as a Japanese person in Japan, which is a country that consists of mostly people of the same race, I feel that people assume that we would think and behave the same so somehow people tend to pick up the tiny differences and point out the black sheep. But being with foreign friends, who have totally different backgrounds, we all know that we are very different and we tend to look at what we have in common. And we have so much in common! That make me feel so comfortable.