21 September 2020

わたし、うみ いくわー

少しは夏らしいことをしようと、近くの渓流のある公園に行ったり、海に行ったりした。
We went to a nearby park where a stream runs through.  It's the best place to go during the hot summer. 
他の子どもたちがたくさん遊んでいたからか、思ったより大胆にどんどんと夫の手を引っ張って、上流へと歩いていった。
動きを捉えたいとたくさんスケッチしてみた。慎重になって歩くときって、手が上がるんだなあ、とか。
伯母から借りている絵本『うさこちゃんとうみ』が気に入り、石井桃子氏のちょっと古めかしい訳文そのままに「ちいさ さこちゃん うみ いくわー」「わたし うみ いくわー」と繰り返していたので、それじゃあと8月末に三浦半島の海へ連れていった。
We went to the sea, too! 
でも、夫が抱きかかえて海に入ったら、「なみ ざざーん こわい!」
うさこちゃんがバケツに「いろや かたちも さまざまな かいを たくさん」拾うので、波うち際で一緒にきれいな貝を探そうとしたけれど、もう波のくる砂浜には足を付けようとせず、ずっと抱っこしたまま貝拾いをする羽目になった。でも、白い斑がきれいなマツムシやタカラガイの仲間をいくつか見つけた。
この体験以来、絵本を読んでも、「うみ こわい」になってしまった!
武山の山頂でお弁当を食べていたら、気の早いサシバが1羽、渡っていった。夫もわたしも双眼鏡を持っていなくて、しっかり観察はできなかったのだけど、一緒に旋回していたトビと比べても、夫ががんばって望遠コンデジで撮った画像からも、サシバだと思う。8月29日のこと。
9月の4連休初日、祖母の家に車で物を取りに行く用事があったので、ついでに三番瀬に立ち寄った。チビ連れだと時間も限られ、遠くからちょこっと眺めただけだけど、神奈川ではまず見られないシギチの種数と数にうれしくなった。
Shorebirds at Sanbanse. 
ハマシギやダイゼン、メダイチドリすらも久しぶりすぎて、目移りするわ、形はとれないわ……。もっと眺めていたかったけれど、「もうかえらなくっちゃならないな」とうさこちゃんのお父さんの理性を働かせて、お昼にした。
すくなくともチビは、なみがざざーんとならない、怖くない海もあることを知った。

15 September 2020

コウモリ通信

I made an illustration for my mum's new blog.  
母が『埋もれた歴史』の出版を機にブログを作りたいというので、ヘッダー用のイラストを描いた。
母が所属していた翻訳グループ牧人舎が解散して、毎月そのHPに書いていたエッセイ「コウモリ通信」の更新もなくなってしまったので、そのかわりの位置づけのブログだ。名前もそのままコウモリ通信〜Letters from a Bat
はじめは、2008年3月に、牧人舎のコウモリ通信が100回目になった記念にわたしが描いた鉄棒にぶら下がる親子コウモリの絵をそのまま使うと言っていたのだが、どこを探しても原画もデータも見つからず、描き直したほうが余程早いし良いということになった。チビも増やして3匹にした。

13 September 2020

1歳のアルバム

今年も、1年を振り返ってチビのアルバムを作った。
写真をハードディスクに溜め込んでも、2度と開けないものになりかねないから。いつか赤ちゃん絵本を作りたいと思っているので、この時期に何ができて何ができなかったか、何が分かって何が分からなかったかは、忘れないようにしておきたいと思っている。
I made my little one's one-year-old album. I am not good at doing any motherly things but to make things to record her growing.
座れるようになってから1年くらいは、こうして正座をしていたのに、いつのまにか足を投げ出して座ることが多くなった。
クリスマスや誕生日といったイベント事の写真もいいけれど、見返して一番おもしろいのは、日常生活や、その時々のへんな仕草や表情だったりする。毎日のようにやっていた行動—両手をお尻の後ろでバタバタさえて怒るとか、ピボットターンでクルクルまわるとか—の写真が一枚もないのに気付いてショックだったりもした。

9 September 2020

埋もれた歴史

母の著書『埋もれた歴史 幕末横浜で西洋馬術を学んだ上田藩士を追って』の題字とカバーデザインをした。 母が高祖父(わたしにとってはひいひいひいおじいちゃん)についてネットで検索をしたことをきっかけに、幕末の歴史について調べはじめ、生麦事件や佐久間象山、松平忠固等について、これまで埋もれていた歴史的なことをたくさん見つけ出して本まで書いてしまったというものだ。
I designed the cover and the title lettering for the history book, which my mum wrote.  
上田紬の地に、この伝次郎さんの写真を載せるというのは、母が当初から決めていたこと。そこに小さな活字で題が入った表紙案を見て、何だか本当に埋もれそうだと思ったので、せめて題字を描き文字にしてみた。ひらがなに入っているのは馬蹄と馬のしっぽと生糸のつもり。
翻訳者のはずの母がこんな歴史書を執筆しはじめた大元の一つは、わたしの高校の倫理の宿題だったりする。「千ページ読書」と言われた謎の名物宿題で、千ページ以上のフィクションを読み、その本に関連して二千文字以上の文章を書くというものだった。今から思えば、長編の物語には何らかの世界観があるので、その世界に通じている哲学を汲み取れというものだったのだろうか。ともかくわたしはエドワード・ラザフォード著の『ロンドン』を読み、その形式をなぞって自分の祖先の物語を書いた。 それを書くのに、祖母の兄弟をはじめ、親戚にメールやFAXを送って昔のことや祖先について聞き回り、戸籍を調べたりしてノートにまとめていた。母は、いつの間にかそのノートから発展して調べていたのだ。
ノンフィクション翻訳者の特技は、外国語を読むこととネット検索だなあとつくづく思う。
わたしも本全体はまだ読めていないのだが、この本を執筆中、母はいろいろ調べては、判明したことをこと細かに教えてくれた。それを耳半分に聞いていたわたしによく分かったのは、曾曾曾祖父はどうやら幕末期に活躍し、すでに海外に目を向けていたすごい人たちに囲まれて生きた人だったこと、それにもかかわらず、名を成すことは何一つしなかった、まさに歴史に埋もれた人らしいということだ。

7 September 2020

Ten years

Happy ten years of our friendship!  
Today marks ten years from the day I went to the UK to study children's book illustration and became friends with the lovely Spectrum crews.   This is a doodle I made based on my newly published Alison Uttley's book's characters using Adobe Illustrators.  
I thought it is appropriate to ask those animals to come on board because all my experiences in Britain were put into that project.    
And yesterday, I was learning how to draw with digital paths.  I asked my illustrator friend to teach me tips on how to create paths.  I like traditional media and will still keep creating images with them.  But it is always good to be able to use digital media.  And it's a good feeling to learn something new!  

これまで見よう見まねで、必要最低限にPhotoshopやInDesignを使っていたけれど、Illustratorでパスデータを扱うのがどうしても上手くできなかった。これからも基本はアナログ技法で描いていくつもりだけれど、ロゴや布製品の入稿にはベクターデータが必要でいつも困っていたので、以前からイラレは勉強したいと思っていた。少し仕事に余裕ができたので、昨日、友人で大活躍中のイラストレーター、オオノマユミさんにお願いして個人的に教えていただいた。オンライン個人レッスン! 覚えたてのことを使って、練習もかねて、遊びで絵を描いてみた。思った通りの線が描けるようになるにはまだまだ練習が必要だけれど、何ができるかを体系的に教えていただけたのは本当に大きい。

The three years in Cambridge still holds the position of the happiest time in my life so far.  I don't mean that I am not happy now living with my super adorable little one and a very understanding husband and closer to my family.  Of course I am! 
But that is a different kind of happiness.

Living in that beautiful place and having the freedom of doing anything I want to do on the day and being excited about everything new happening to me were something so special.    

 Not only my life had changed but also the world had changed so much since then.   Sometimes, I get scared thinking, do I ever have a month or even a week when I get up everyday so excited about the day ahead like I was in those three years?  But maybe I should be grateful that I at least had those three years.  I worry about my little one and children in her generation if they ever have a chance to study abroad like I did.    

 Three million cheers to our days of chatting over endress cups of  tea and coffee.  

2 September 2020

はりねずみともぐらのふうせんりょこう

This evening, I received the advanced copies of the book I illustrated! 
It is an anthology of three short animal stories written by Alison Uttley, which were newly translated into Japanese. 
アリソン・アトリーの3つのお話にわたしがイラストをつけた本『はりねずみともぐらのふうんせんりょこう』が数日後に福音館書店から出版される。訳は上條由美子氏だ。 まさか自分が『時の旅人』やグレイ・ラビットのシリーズなどで知られるアリソン・アトリーの挿絵を描くことになるとは!  
仕事が決まってから、アトリーの自伝的な作品だとされる『農場にくらして』を読んだ。わたしが好きな野生動物画家のC.F.タニクリフが白黒の挿絵を付けていて、アトリーの世界感をとてもぴったりと表していると感じた。だからわたしもそんな雰囲気を出してみたくて、消しゴムはんことリノリウム版画で挿絵を描いた。 Three stories are "The Doll's House," "Hedgehog and Mole Go Ballooning" and "The Mouse, the Rabbit and the Little White Hen." 留学中にイギリスの景色、生き物やイギリス人の暮らしを見た経験が活かせる仕事ができたのはとてもうれしかった。アトリーのお話は生き物の描写が細かい。植物や動物はできる限りイギリスにいる種を描こうとこだわった。  For me "the doll's house" always meant this gorgeous dolls' house my mum made for me modeling after the Rumer Goden's "The Dolls' House."
はじめの『ちいさな人形の家』はのねずみの兄妹が人形の家を見つけて入り込むお話だ。わたしにとって、『人形の家』といえば、ルーマー・ゴッデンのお話だ。何しろ、小学生の頃、母が岩波書店から出ている邦訳版の見返しにある家の中の図を元に、こんな素晴らしい人形の家を作ってくれたのだ。この人形の家のおかげで、お話の世界はぐっと身近になった。 だからおのずと、挿絵の人形の家の外観や内装も、母が作った家そっくりになってしまった。 先日、ルーマー・ゴッデンの原作はターシャ・チューダーがイラストを描いていると知り、どうしても気になって原書を手に入れた。開けてみると非常に既視感のある絵。どうやら邦訳版のイラストは、堀内誠一がこのターシャ・チューダー版を見ながら描いたようだ。今なら著作権などでちょっと問題になりそうなくらい似ている。 For the end paper of my book, I used the same pattern design I made after seeing the scenery in Lake District back in 2012.  So now my little one and I each have a skirt matching with the book!  
見返しのパターンのスカートをお揃いで着て撮影するならと風船も買った。ところがゴム風船にヘリウムは簡単に入れることができず、空に浮かないのでよい写真が撮れずに苦戦して終わってしまった。でもアトリーの時代に、そんな田舎のおばあさんが売っている風船にヘリウムが入ってたとも考えにくいから、風船は風にたなびいている程度だったのだろうか。ハリネズミの針どころか、草などに触れると、「すぐに、パーンといってしまう」ので、お話の世界を現実にするのはやっぱり難しい。