横浜自然観察の森の森の生きもの講演会、「知りたい!モグラのくらす世界」に参加してきた。講師は国立科学博物館の川田伸一郎氏。
何しろ今、仕事でモグラを描いているのだ。お話のイラストなので、描いているのは服を来たモグラなのだが、それでもモグラという設定である以上、生き物としてのモグラがどんな形をしているのか、どんな動きをするのか気になる。しかも地中で生活する生き物だけに、写真資料などがどうしても少ない。
モグラの生態はまだ不明なことが多く、きちんとした研究成果としてまとまっていることは少ないというが、川田氏がモグラの分類の研究のために長年モグラを捕獲する中で知り得たことをたくさん教えてくださった。
剥製もたくさん持ってきてくださって、見放題! モグラの特徴でもあり、他の生物と一番違うと感じる前足の形を、よく見ることができたのが絵を描く上では収穫だった。
モグラは巣の近くに必ずトイレを作るが、そのモグラのトイレからしか生えないキノコがあるという。だからそのナガエノスギタケが生えていれば、必ずその下の近くにモグラの巣があるそうだ。ナガエノスギタケ、見つけてみたいなあ。
モグラは動物質のものなら魚でもカエルでもネズミでも何でも食べるという。でも野菜は絶対に食べないそうだ。ということは、ハリネズミとモグラが「レタスとラディッシュと、イチゴと、キャベツとおいしそうなかたつむり」のごちそうを食べるシーンで、モグラが食べたのは、かたつむりしかないのか。架空のお話でも出来る限り本物らしくしたいので、ついついそんなことが気になる。
I join a talk & workshop event about moles at Yokohama Nature Sanctuary. Currently I am illustrating a story about a mole but I had only seen dead ones and stuffed ones and never a live one before. So it was a wonderful opportunity for me to see one moving about on the ground, digging a soil and even swimming in the water!
I learned that moles can swim very well! It must be a skill to survive floods.
I was thinking of the "Little Gentleman" by Philippa Pearce. I can't remember exactly, but wasn't there a flood scene? I must read it again.
帰り道、ウソの群れに会った。全部で6羽の群れ。カエデの実とウツギの実を食べていた。お腹の赤い雄もいた。
長い間、同じところに止まってウツギの実を食べていた個体。動かずに取れる側の実が全部無くなっていた!
こうして色々勉強する機会があり、参加させてもらえるのは幸せだ。
26 January 2020
21 January 2020
製本所見学
昨年いっぱい原画を描いていた新作絵本『さくらがさくと』が2月に福音館書店から出る。
今日はその絵本の製本をしているところを見学させていただけるというので、板橋にある清美堂を訪ねてきた。
My new picture book will be out soon on the 10th February.
Today, I visited Seibido, a book binding factory to see my new book being bounded! It was very exciting to see the printed sheets turning into a book step by step. And it is not just a book but my book!
工場入り口には、品名「さくらがさくと」と書かれた大きな紙のブロックがどーんと置かれていた。印刷会社NISSHAさんから送られてきた印刷物だ。
直角が取れた角を下にして斜めにし、振動を与えて紙を揃える。これをすることで、裁断の位置が紙によってずれなくなる。
Cutting the paper.
上下左右3ミリを残して裁断。このくらいの厚みの紙の束も一瞬でスッパリ切れてしまう!
Paper collator.
丁合といって、ページ順にセットする作業をする機械。右下が一番外側のページ、つまり表紙に貼付けられるエンドペーパーで、桜の絵本のグレーピンクが見えている。この絵本は横幅304mmなのだが、この機械でできる最大サイズらしく、ページごとの紙をのせる棚から紙がはみ出し気味だ。
間違いが出ないよう、カメラがセットされている。
セットされたものが出てきた。
Sewing the book in the middle.
中のページの背中に特殊な布、寒冷紗を貼り、ミシンで縫い、その後、中心で折る。 わたしの絵本が機械に乗って動いていた!
このあと三方をきれいに揃えて切る化粧断ちが行われる。
This is the back side of the cover with the cardboard inside.
これはすでに厚紙を貼る作業がなされて、出来上がっていた本の表紙の裏面。 この作業も、別の本で見せていただいた。
How exciting to see the cover of my books already made and being piled up in the factory!
Binding the inside paper and the cover with plastic glue.
表紙と中身をくっ付ける機械。写真は同時に刊行される別の本の作業。
このあと手作業で一冊一冊を丁寧に検品しているところや、売り上げカードやハガキを自動で入れる機械、包装作業なども見せていただいた。絵本はそれぞれ大きさも縦横比も違うし、使っている紙や印刷の仕方も異なる。上がってきた印刷物を見て、毎回、機械への入れ方などを工夫して作る必要があるという。
家に帰り、寝かしつける前にチビと何冊か絵本を読んだ。ついつい、どうやって製本されているのか見てしまう。本によってずいぶん綴じ方が違うことがわかった。
読んだ本の一冊は、わたしの小さい頃の愛読書、林明子の『おつきさまこんばんは』。実家から持ってきた本だが、見たら清美堂で製本されたものだった。
今日はその絵本の製本をしているところを見学させていただけるというので、板橋にある清美堂を訪ねてきた。
My new picture book will be out soon on the 10th February.
Today, I visited Seibido, a book binding factory to see my new book being bounded! It was very exciting to see the printed sheets turning into a book step by step. And it is not just a book but my book!
工場入り口には、品名「さくらがさくと」と書かれた大きな紙のブロックがどーんと置かれていた。印刷会社NISSHAさんから送られてきた印刷物だ。
直角が取れた角を下にして斜めにし、振動を与えて紙を揃える。これをすることで、裁断の位置が紙によってずれなくなる。
Cutting the paper.
上下左右3ミリを残して裁断。このくらいの厚みの紙の束も一瞬でスッパリ切れてしまう!
Paper collator.
丁合といって、ページ順にセットする作業をする機械。右下が一番外側のページ、つまり表紙に貼付けられるエンドペーパーで、桜の絵本のグレーピンクが見えている。この絵本は横幅304mmなのだが、この機械でできる最大サイズらしく、ページごとの紙をのせる棚から紙がはみ出し気味だ。
間違いが出ないよう、カメラがセットされている。
セットされたものが出てきた。
Sewing the book in the middle.
中のページの背中に特殊な布、寒冷紗を貼り、ミシンで縫い、その後、中心で折る。 わたしの絵本が機械に乗って動いていた!
このあと三方をきれいに揃えて切る化粧断ちが行われる。
This is the back side of the cover with the cardboard inside.
これはすでに厚紙を貼る作業がなされて、出来上がっていた本の表紙の裏面。 この作業も、別の本で見せていただいた。
How exciting to see the cover of my books already made and being piled up in the factory!
Binding the inside paper and the cover with plastic glue.
表紙と中身をくっ付ける機械。写真は同時に刊行される別の本の作業。
このあと手作業で一冊一冊を丁寧に検品しているところや、売り上げカードやハガキを自動で入れる機械、包装作業なども見せていただいた。絵本はそれぞれ大きさも縦横比も違うし、使っている紙や印刷の仕方も異なる。上がってきた印刷物を見て、毎回、機械への入れ方などを工夫して作る必要があるという。
家に帰り、寝かしつける前にチビと何冊か絵本を読んだ。ついつい、どうやって製本されているのか見てしまう。本によってずいぶん綴じ方が違うことがわかった。
読んだ本の一冊は、わたしの小さい頃の愛読書、林明子の『おつきさまこんばんは』。実家から持ってきた本だが、見たら清美堂で製本されたものだった。
18 January 2020
ジョン・グールド展とリトグラフ
I visited the Tamagawa Academy & University to see the special exhibition of John Gould's birds books and to join the lithography workshop. The academy owns a very good collection of John Gould's books.
I learned that John Gould himself didn't actually draw all the paintings but his wife, Elizabeth Gould and other artists like Henry Constantine Richter did. Elizabeth Gould is whom the Ms. Gould's Sunbird, a bird I've seen in Northern Thailand, is named after!
玉川大学教育博物館の特別展「ジョン・グールドの鳥類図譜」を見に行き、ワークショップ「リトグラフで鳥の絵に挑戦」に参加してきた。
展示は、玉川学園と山階鳥類研究所が所蔵する44巻の鳥類図譜を、それぞれどこか1ページを開いて見せてくれている。本だから、めくらない限り他の図版が見られないのは、仕方ないことだけれど、もどかしい。
でも本のページといえど、リトグラフで印刷された線画に手で彩色しているので、どれも原画だ。ハチドリ類は金属光沢を表現するために、金彩を施した上に絵の具に透明なオイルとニスを混ぜ合わせたものを塗っているという。複製にはどうしても出ない光沢が見て取れた。
また博物画についての解説もおもしろかった。ジョン・グールドの鳥類図譜と一口に言うけれど、ジョン・グールド本人はあまり画才はなかったため、監督のような立場でこの鳥をこういうポーズでこんな感じにとラフまでを作り、実際に1枚1枚の絵は、奥さんのエリザベス・グールドや工房の画家リヒターなどが描いたのだと知った。
実は偶然にも先日、知人から豪華本『ジョン・グールド 世界の鳥』を譲っていただき、本も鳥も大好きなチビと二人でずいぶん眺めている。アジアの鳥やイギリスの鳥など、よく知った種の絵を見ると、やはり資料の少ない昔ながらのその鳥らしくなさがどうしても気になったりするけれど、絵としての描き方や構図の良さには非常に惹かれる。全ての鳥が右向け右というような図鑑絵ではなくて、生態を絶妙に合わせたところが本当に素敵だ。
Peregrine Falcon I made during the lithography workshop.
I had been long wanting to try lithography but hadn't have a chance. So it was a really good opportunity to see how this technique works. And it was free of charge!
ワークショップは町田の版画工房カワラボの方が来て、描画、製版、印刷の行程を教えてくださった。リトグラフは、何度説明を受けても、どういう仕組みでできるのか、いまいち理解できていなかったので、実際に体験できて良かった。
リトグラフ(石版画)と名前がついているが、版に使うのは石に限らず、金属板でもできる。今回使ったのはアルミ版だ。油性のものであれば何でも描画できるそうだが、今回使ったのは油性色鉛筆。
油性でなければ、製版に影響しないので、下絵を複写したり、当たりの線を描いたりした上から描けるのは良い!
今回は時間が短かったので、製版は版画工房の方がやってくださった。
各種の粉で描画部分を補強させたあと、水にしか溶けない樹脂であるアラビアゴムを塗る。すると描画していないところが酸化して、親水性になる。
灯油で描画した画材を洗い流して、代りにエゲンラッカーを塗り、描画部分を均等にして安定させる。灯油で流しても、描画していないところは、水以外には溶けないアラビアゴムで保護された状態だ。
水をつけながら油性のリトグラフ用インクを乗せると、油性の描画部分にはインクが乗るが、アラビアゴムを敷いた親水性の部分はインクを弾くのでつかない。
それをプレス機で刷る。
一人3枚刷らせてもらった。回を重ねるごとに、ちょっと濃く印刷できた。
左下は版。
色鉛筆で描いたそのままのタッチが本当によく再現できる。
でも逆に再現性が良すぎて鉛筆画のデジタルコピーとそう変わりないので、今の時代にこの技法を作品に取り入れるには、何かこの良さを上手く活かしたものでないと意味がない気がする。鉛筆以外の画材のタッチや、多色刷りを、いつかやってみたいものだ。
展示もワークショップも、なんと無料だった!
本当に良い体験をさせていただいた。
I learned that John Gould himself didn't actually draw all the paintings but his wife, Elizabeth Gould and other artists like Henry Constantine Richter did. Elizabeth Gould is whom the Ms. Gould's Sunbird, a bird I've seen in Northern Thailand, is named after!
玉川大学教育博物館の特別展「ジョン・グールドの鳥類図譜」を見に行き、ワークショップ「リトグラフで鳥の絵に挑戦」に参加してきた。
展示は、玉川学園と山階鳥類研究所が所蔵する44巻の鳥類図譜を、それぞれどこか1ページを開いて見せてくれている。本だから、めくらない限り他の図版が見られないのは、仕方ないことだけれど、もどかしい。
でも本のページといえど、リトグラフで印刷された線画に手で彩色しているので、どれも原画だ。ハチドリ類は金属光沢を表現するために、金彩を施した上に絵の具に透明なオイルとニスを混ぜ合わせたものを塗っているという。複製にはどうしても出ない光沢が見て取れた。
また博物画についての解説もおもしろかった。ジョン・グールドの鳥類図譜と一口に言うけれど、ジョン・グールド本人はあまり画才はなかったため、監督のような立場でこの鳥をこういうポーズでこんな感じにとラフまでを作り、実際に1枚1枚の絵は、奥さんのエリザベス・グールドや工房の画家リヒターなどが描いたのだと知った。
実は偶然にも先日、知人から豪華本『ジョン・グールド 世界の鳥』を譲っていただき、本も鳥も大好きなチビと二人でずいぶん眺めている。アジアの鳥やイギリスの鳥など、よく知った種の絵を見ると、やはり資料の少ない昔ながらのその鳥らしくなさがどうしても気になったりするけれど、絵としての描き方や構図の良さには非常に惹かれる。全ての鳥が右向け右というような図鑑絵ではなくて、生態を絶妙に合わせたところが本当に素敵だ。
Peregrine Falcon I made during the lithography workshop.
I had been long wanting to try lithography but hadn't have a chance. So it was a really good opportunity to see how this technique works. And it was free of charge!
ワークショップは町田の版画工房カワラボの方が来て、描画、製版、印刷の行程を教えてくださった。リトグラフは、何度説明を受けても、どういう仕組みでできるのか、いまいち理解できていなかったので、実際に体験できて良かった。
リトグラフ(石版画)と名前がついているが、版に使うのは石に限らず、金属板でもできる。今回使ったのはアルミ版だ。油性のものであれば何でも描画できるそうだが、今回使ったのは油性色鉛筆。
油性でなければ、製版に影響しないので、下絵を複写したり、当たりの線を描いたりした上から描けるのは良い!
今回は時間が短かったので、製版は版画工房の方がやってくださった。
各種の粉で描画部分を補強させたあと、水にしか溶けない樹脂であるアラビアゴムを塗る。すると描画していないところが酸化して、親水性になる。
灯油で描画した画材を洗い流して、代りにエゲンラッカーを塗り、描画部分を均等にして安定させる。灯油で流しても、描画していないところは、水以外には溶けないアラビアゴムで保護された状態だ。
水をつけながら油性のリトグラフ用インクを乗せると、油性の描画部分にはインクが乗るが、アラビアゴムを敷いた親水性の部分はインクを弾くのでつかない。
それをプレス機で刷る。
一人3枚刷らせてもらった。回を重ねるごとに、ちょっと濃く印刷できた。
左下は版。
色鉛筆で描いたそのままのタッチが本当によく再現できる。
でも逆に再現性が良すぎて鉛筆画のデジタルコピーとそう変わりないので、今の時代にこの技法を作品に取り入れるには、何かこの良さを上手く活かしたものでないと意味がない気がする。鉛筆以外の画材のタッチや、多色刷りを、いつかやってみたいものだ。
展示もワークショップも、なんと無料だった!
本当に良い体験をさせていただいた。
15 January 2020
どんど焼き2020
今年も星川杉山神社の古札焼納祭を見てきた。
Monday was a holiday and we went to a shrine to see the Dondo bonfire festival.
Watching the Lion dance.
My little one got her head bitten by the lion.
It's a good thing! Because it means that the lion ate the evil and she can lead a healthy year ahead.
獅子舞も、お囃子も子どもたちがやっていた。
Starting a fire.
お団子をあぶって食べる。チビも喜んで食べていた。
翌日、祖母にどんど焼きに行って、お団子を食べたという話をしていたら、そばで聞いていたチビが、『14ひきのおつきみ』の本をひっぱりだしてきた。
ちゃんと大人の会話の中から「お団子」という単語を聞き取って、それが出てくる絵本を思い出して見つけてくるんだからすごい。こうやって言語を獲得していくんだなあ。
何しろ今年は、元旦の朝3時のチビにはじまり、一家でノロウイルスらしい感染性の胃腸炎に倒れて、とんだお正月になってしまった。 どんど焼きの火に当たり、その火で焼いたお団子を食べたので、今年はもうこれで大丈夫だろうか。
お正月らしい絵も少し描けてよかった。
Monday was a holiday and we went to a shrine to see the Dondo bonfire festival.
Watching the Lion dance.
My little one got her head bitten by the lion.
It's a good thing! Because it means that the lion ate the evil and she can lead a healthy year ahead.
獅子舞も、お囃子も子どもたちがやっていた。
Starting a fire.
お団子をあぶって食べる。チビも喜んで食べていた。
翌日、祖母にどんど焼きに行って、お団子を食べたという話をしていたら、そばで聞いていたチビが、『14ひきのおつきみ』の本をひっぱりだしてきた。
ちゃんと大人の会話の中から「お団子」という単語を聞き取って、それが出てくる絵本を思い出して見つけてくるんだからすごい。こうやって言語を獲得していくんだなあ。
何しろ今年は、元旦の朝3時のチビにはじまり、一家でノロウイルスらしい感染性の胃腸炎に倒れて、とんだお正月になってしまった。 どんど焼きの火に当たり、その火で焼いたお団子を食べたので、今年はもうこれで大丈夫だろうか。
お正月らしい絵も少し描けてよかった。
1 January 2020
Happy New Year!
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2020 is the year of mouse so I decided to carve a water vole.
I was glad to have this excuse to make a reduction print for the first time since the last year's new year's card.
年明けからやるべき仕事がたくさんあって、4月までは、もう絶対に忙しいことが目に見えている。子年にふさわしく、たくさんネズミを彫ることにもなる予定だ。
忙しくても、チビの観察を怠らないこと、それがとりあえずの今年の目標。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2020 is the year of mouse so I decided to carve a water vole.
I was glad to have this excuse to make a reduction print for the first time since the last year's new year's card.
年明けからやるべき仕事がたくさんあって、4月までは、もう絶対に忙しいことが目に見えている。子年にふさわしく、たくさんネズミを彫ることにもなる予定だ。
忙しくても、チビの観察を怠らないこと、それがとりあえずの今年の目標。
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