31 October 2022

ジャパン・バード・フェスティバル2022

今週末に千葉県我孫子市で開かれる鳥好きのお祭り、ジャパン・バード・フェスティバルに参加します。
今年のポスターの原画を描かせていただきました!
Japan Bird Festival will be held on the 5th and 6th of November at Abiko, Chiba. 
I was honored to make the illustration for this year's poster. 
コロナにより20年、21年はオンラインのみだったので、現地開催は3年ぶり。ポスターが制作されたのも3年ぶり。
実は2020年に向けて描いたものだったので、今年の会場変更で、絵に描いた水の館がフェスティバル会場ではなくなってしまったのは、ちょっと残念だけど仕方ないこと。
いろいろ制約はあっても、こうしてまたお祭りができる日々が戻ってきたのはとてもうれしい。

当日は、アビスタ1階で日本ワイルドライフアート協会有志による「鳥に魅了されたアーティストたち」の展示コーナーで、このポスター原画と『はばたけ!バンのおにいちゃん』の原画一枚を展示します。

またアビスタ・エントランスのテントブース「鳥に魅了されたアーティストたち」にて、絵本や版画の販売をします。
『はばたけ! バンのおにいちゃん』の原画と同じ判子を作ったハガキサイズの版画。
子どもと公園を散歩しながら見た鳥を描いたシリーズ。版画一版に水彩で手彩色。

会場でみなさんにお会いできるのも楽しみにしています!

28 October 2022

Halloween Pumpkin

I carved a pumpkin!
It's a flying Great Hornbill.  I wish I could visit Thailand again soon to see them!  

チビがとうとう大流行中の風邪をもらってきて幼稚園を休んだので、どうせ仕事にならないからとカボチャを彫る母親……。

ハロウィーンにはあまり関係ないけど、白黒にしやすいオオサイチョウ。

23 October 2022

Autumn Harvest

秋、実りの秋! 
『たべられる きのみ』(菅原 久夫 文 /高森 登志夫 絵)を読んだのもあり、この秋はすいぶん野生の秋の実りを味見した。
7月頃からチビは『14ひきのあきまつり』や『あきのおさんぽ いいものいくつ』などに出てくるアケビが食べてみたくて仕方なく、しょっちゅう「アケビがとりたいのー!」と言っていた。幼稚園の植物に詳しい先生にまで、「アケビ とりたいんだけど、どこにあるか知っていますか?」などと聞いていたらしいのだが、園の裏山にはないと言われてしまったらしい。
 そんなに言うなら一口くらいは味見させてあげたいものだと、出かけるたびにアケビ探しをする日々だった。

きれいに食べられた状態で地面に落ちてたアケビ。 
そして丸いまま落ちているのを見つけ、無事に味見もできた!
チビ「あまーい!」と大喜び。
We found a kind of chocolate vine and tasted the sweet inside part.  There are more seeds than the edible part. 
狩猟採集というのは人の根底にある行動だから、子どもには体験させたいなあと思う。身の回りの植物が何かに使える、食べられると思うだけで、植物に対する興味がぐんと上がる。
自然保護という観点からも、一軒家で庭でもない限りは、周りの土地は全て誰かの私有地という点からも、都市に住んでいるとなかなか自由に採ってもいい植物というのがなくて困る。野生動物の棲家としての自然がとても貴重になったいま、採集禁止の自然公園が大切なのはわかるけれど、食べられる木や使える草をたくさん植えた共有地(common)的な公園もあったらいいのにと思う。
ちょっぴりだけジャムを作ってみようと思い立ち、近所でエビヅルの実を収穫。近くにアオツヅラフジの実も生っていて、こちらは毒なので収穫は要注意。チビは葉の形でしっかり見分けてくれるので、採らせても安心できてありがたい。 まだ時期が早くて緑の実も多かった割に、思った以上の量がとれた。
エビヅルはヤマブドウに比べてペクチンが少ないらしく、レモンを入れなかったのでとろみはつかなかったけれど、味は濃くてとてもおいしい!
(絵を描く専門のわたしも、実を取るのと潰すのは手伝った!)
We made a bottle of jam (or rather a syrup) out wild tiny grapes.
 草刈り業者のおじさんたち、たとえばこのエビヅルも名前も知らなければ、食べられることも知らなくて、実がたわわに生っているのに、全く気にせず全部刈ってしまったりする。チビと楽しみにしていた実の生った蔓がみんな切られてしまったので、ダメもとで聞きにいったら「こんなの欲しいの?」っという感じで、どさっとくれた。
あまりに少なかったので、シェラカップでジャムもどきを。少ないのを良いことに頑張って種を取り除き、皮を残したらより美味しくできた気がした。
茹でた栗をスプーンで必死でほじくっても食べたし、スダジイやマテバシイを炒ったものも食べたし、粉にしてどんぐりクッキーも作ってみた。

Pokeweed berries are poisonous but it has nice colour to play with. We drew with it and dyed some knitting wool with it! 


ヨウシュヤマゴボウの実を潰してお絵描き。そのうち色褪せてしまうのはわかっているけど、この魅力的な色でつい描きたくなる。 ヨウシュヤマゴボウは毒なので試したい方は要注意です。
ヨウシュヤマゴボウで毛糸も染めてみた。
といっても、ジップロックに実と少量のクエン酸を入れ、毛糸も入れて潰しただけ。 母が少量で試しに染めたものはとても濃い紫に、わたしとチビが大量に染めたものは、染め時間が短かったせいかピンクに。 時間が経ってどのくらい色落ちするのかは気になるところ。 『アンナの赤いオーバー』ならぬピンクのセーター。 メリヤス編みも裏編みもやり方をすっかり忘れていたわたしは、セーター作りはちっとも戦力にならず、3段くらい手伝っただけ。

18 October 2022

今日は 旅びよりだね

We went to Manazuru to see the Brown-eared Bulbul's autumn migration. 

前年のその月に描いた絵を使ってカレンダーを作り、他にかけるところがないのでトイレにかけている。 10月のカレンダーをめくって出てきたのは、真鶴半島のスケッチ。それを見たチビが「また ヒヨドリ見に行こうね!」というので、週末に出かけてきた。 
土曜日のお昼時、車の中からチビが「あー、ヒヨドリ!」と十数羽で飛んでいる渡りのヒヨドリを見つけた。
夕闇の琴ヶ浜。 
She insisted on drawing waves in this sunset darkness so I joined her. 

朝の5時すぎ、浜へ降りようとケープ真鶴前の道路を歩いて登っていくと、"だるまさんがころんだ"をしているツグミ類のシルエットがあった。ピョンピョンと跳ねて、ピッと姿勢を正すのを繰り返している。 日の出を見ようと急いでいて、双眼鏡を手に持っていなかったので、色も模様も確認できず、種がわからなかった。なんだったのだろう。
Just after five in the morning, we rushed down the stairs toward the rocky beach. The sunrise was so beautiful appeared right above the sea horizon.
水平線から顔を出すおひさま。
She drew a pretty one of sunrise and flying crows.
午後からの天気を予想してか、朝早くにハヤブサが見当たらなかったからか、渡るのがとても早かった気がする。6時20分ごろには第一陣の姿が海の向こうに消え、7時を過ぎた頃には、すでに4つの群れが渡ってしまった。 
チビは「これは、(海の向こうへ)行きそうだね!」、「これは戻っちゃうんじゃない」と群れの動きやサイズを見ながら、予想して楽しんでいた。ひたすら海藻をバケツの中でかき回していた3歳時との認識の違いか。
そのあとは、漂着したオニグルミやガマ探しに興じていた。
見つけたオニグルミは、丸いの32個に半分の6個!
There were two nice Grey-tailed Tattlers and they were busy feeding on sea roaches. キアシシギが座っているわたしたちのすぐ近くでフナムシを採ってたべていた。 魚を持ったミサゴや、喉の膨らんだハヤブサ、クロサギ、イソシギ、エゾビタキなども見られた。

13 October 2022

チビと一緒にネイチャースケッチ

誕生日に虫かごをもらい、捕まえた虫を一緒に描くようになってから、チビのスケッチが急に上達した。特に色を選んだり、テクスチャや模様を捉えたりするのがとてもうまい。
上手くなって、絵を描くのが楽しくもなったらしく、おもしろいものを見つけると描きたがる。負けまいとわたしも必死に描く羽目に。
These days, my little one loves sketching insects and plants and getting really really good at it.

8月中旬、台風前に散歩に行った夫が、羽化したてらしいオオミズアオを連れ帰ってきた。チビと絵を描き、台風が過ぎるまで保護。
セスジスズメ  Impatiens Hawkmoth
わたしの真似をして、種名や日付といった文字も書きたがる。左利きなのもあり、すぐに鏡文字になってしまうし、右から左に文字が並んでいることも。文字の練習などさせていないので、書き順もメチャクチャ! 早めに直さないと良く無いだろうかと思いつつ、楽しんで書いている時間にあまり口うるさく文字のことを言うのも気が引けて、どうするべきなのか悩み中。
セスジスズメもアカエリグリバも、チビがマンションの壁で自分で見つけ、描きたい!っと言い出したもの。
チビが幼稚園で拾ってきた緑の実。なぜか2つ、または3つがくっついている。はじめ何だかさっぱりわからず、図鑑をめくって首を傾げていたのだが、チビが「せっけんだよ」というので、ムクロジだと判明した。オレンジ色のイメージしかなかったけれど、今年はどうやら緑の状態でほとんど落ちてしまったようだ。せっかくなので泡を作り、靴下を洗濯してみたら、かなりきれいになった。
絵本 『カーフェリーのたび』がとても気に入り何度も何度も読んでいるので、一番手近なカーフェリー、久里浜→金谷に乗った。ウミネコが船について飛んでくれて、ずいぶんスケッチした。 そのほかはオオミズナギドリ、シュモクザメ。 ついでにロープウェイにも乗って鋸山へ。下山は登山道で、『たべられるきのみ』で甘いと知ったヤマボウシをちょこっと味見。
Little one drew flying Black-tailed Gulls from a car ferry across Tokyo Bat. There is a brown juvenile one, too!

ミサゴ 

10月2日、武山にタカの渡りも見に行った。
もうそろそろタカは在庫切れかなあと、あまり期待せずに出かけたのだが、 サシバは100羽以上飛び、それもけっこう低く近くを飛んでくれる個体も多く、肉眼で見てもよく見えるタカ柱も何度かできて、とっても満足した1日だった。 
Bull-headed Shrike
初めてチビをタカ見に連れて行った2歳の時はひたすら抱っこだったので双眼鏡が増振装置付きになり、3歳は周りを散歩したくて大人はタカ見タイムを確保するのに苦労したけれど、今年は一緒に鳥を見て絵を描いていてくれたので、のんびり楽しめた。
モズ、スズメは合わせてあげた望遠鏡をのぞきながら描いたもの。
金井遊水地にコガモが十数羽飛来していた。脇に少し白黒の横線が入っていたので、この個体はたぶんエクリプスのオス。

29 September 2022

にじいろえほん箱 ありがとうの日

 9月25日に戸塚区の絵本文庫「にじいろえほん箱」の20+1周年記念祭があり、午後のトークイベントで、にじいろえほん箱代表のはやかわしほさんと『わたしとえほん』について対談形式でお話させていただいた。

I talked about my childhood reading experience and how I became an author&illustrator at the 20+1th anniversary event of the private library for local children in Yokohama.
photo by にじいろえほん箱

絵本作家になるまでや、小さい頃の絵本体験、絵本にヒントを得た娘との遊び、それぞれの絵本を作ったきっかけなどについてお話しし、新刊『はばたけ!バンのおにいちゃん』の読み聞かせもした。絵本の読み聞かせをするなんて、まったく打ち合わせにはなかったのだが、やってみたら好評だったようでよかった。大人も、やっぱり絵本は誰かに読んでもらいたいんだなあ。
にじいろえほん箱20+1周年を記念してわたしが作った版画を印刷したポストカードが参加者に記念で配られた。
版画部分を焦茶色でシルクスクリーンで印刷した、絵本も紙芝居も入る大きなトートバッグも、この日限りの販売。

当日は子どもの本& クーベルチップさんのブックマルシェもあり、わたしの著作もたくさん仕入れてくださった。
photo by 子どもの本& クーベルチップ

絵本にサインも。
photo by にじいろえほん箱

チビも連れて行ったけれど、午前中に絵本にサインしている時間は、ママ友が自分の子どもと一緒にチビを外の公園へ連れ出してくれたし、講演中は夫が外で遊んでくれたので、なんとか事無きを得た。
チビは、青い服を着てマスクをし、片手にマイクを持ってしゃべっているわたしを描いてくれた!
 
My daughter drew me with a microphone while I was talking at the stage.    
にじいろえほん箱のみなさん、クーベルチップさん、トークを聞きに来てくださったみなさま、絵本を買ってくださったみなさま、ありがとうござました。

14 September 2022

はばたけ! バンのおにいちゃん

新刊『はばたけ! バンのおにいちゃん』の見本が届いた!!! 
春先に生まれた水鳥のバンの若鳥は、子育てヘルパーとして親鳥の第2回目の繁殖のお手伝いする。その習性に着目して描いた、お兄ちゃんの成長物語だ。
So happy and proud of myself to receive this advance copy of my moorhen story this morning. 
This was the project I started as the MA's graduation project back in 2011 and was originally in English and called "Little Brown".  So it really has a special place in my heart. 
In order to publish it in Japan, I added a few pages and changed some composition, re-do the entire illustrations.  I think my carving and printing skill improved a bit from 2011.  
『はばたけ! バンのおにいちゃん』 
とうごうなりさ さく、上田恵介 監修
出版ワークス AB判 34ページ 
1,760円(1,600+税) 
本屋さんに並ぶのは9月28日以降の予定です。
背表紙にもバンの若鳥がついているので、本屋さんの書棚で探すときの目印に!
こだわってマット紙に刷ってもらったので、版画の雰囲気がよく出ていると思う。
これが本になったのは、一番最初のクリスマスの絵本が出たときと同じくらいうれしい! 
何しろ2011年にイギリスの絵本コースの修了制作として作り始め、イラストは2012年のMacMillan賞に入選もしたのに出版社が見つからず、ずっと放って置かれたプロジェクトだったからだ。編集者たち曰く、バンはマイナーな生き物だし、自然科学本にもお話絵本にも分類しにくい内容で中途半端だ、と。

でもこれはわたしが絶対に作りたいと思っているジャンルの絵本なのだ。

特に日本の読者は、バンなんて鳥は知りもしないかもしれないけれど、実は身近な生き物だ。ちょっとした自然公園や川で見られる。横浜なら舞岡公園とか、柏尾川とか。
わたしがこの絵本を作り始めたイギリスのケンブリッジでは、街中を流れる川沿いやケンブリッジ大学構内の池を、まるでドバトのように歩いていた。



My very first moorhen sketch in Cambridge in September 2010. 
これは留学してすぐの2010年9月(ほぼ12年前!)にわたしが描いたスケッチ。ケム川で観光客を乗せるパントの上を歩いているところ。


This is probably my very first nesting moorhen made in printmaking style, August 2011.   
街中の流れで繁殖もしていて、とてもよく観察できた。ジーザス・グリーン沿いの流れでは450メートル程度の区間に5つも巣を見つけ、卵も丸見え。それぞれの繁殖状況をつぶさに観察できた。絵本には入れなかったけれど、1ペアが巣を2ヶ所作り、ヒナが生まれると卵を産まなかった方に引っ越したりすることがあるのも知った。

わたしは絵本を通して子どもたちにパンダやコアラなどのメジャーな生き物ーー動物園にいるか、遠い外国にいるか、テレビの中にいる生き物ーーだけでなく、身近にいるちょっと変わった生き物にしっかり目を向けてほしいと思っていたので、何の絵本を作ろうかと思ったとき、当時一番身近に見られたおもしろい生き物=バンを選んだのだった。

そして"1冊の中にその生き物に関する知識をすべて詰め込もう"、"これだけ読めばこの生き物のすべてがわかります"、という自然科学絵本ではなくて、単純にお話として読んでおもしろいものを作りたかった。自然科学絵本は、対象となる生物種に興味があって、それについて知りたいと思う子は読むけれど、それ自体に興味がない子は手に取らない気がしたからだ。
お話絵本なら、生物そのものに興味がない子も、動物が主人公のその他のお話絵本と同列に読んで楽しんでくれる気がした。
でも普通の動物お話絵本は、動物が人間と同じような親子関係を持っていたりし、それが確実にお話と分かればよいけれど、どこか潜在的に子どもたちのその生き物に対する認識を変えてしまっていることにちょっと違和感を感じることも多い。
わたしが書くお話は、生き物がその生き物らしく生活していてほしいと思っていた。
This is the original graduation project, "Little Brown". 
そんなことを考えながら、バンをひたすら観察し、スケッチし、チューターや友達に意見をもらい英語を直してもらいながら作り上げたのが『Little Brown』だった。
Graduation exhibition in 2012 where I displayed the illustration from the original Little Brown.  
2012年のThe MacMillan Prizeで"highly commended"に選ばれロンドンの書店にその他の受賞者の作品とともに飾られたときの写真。(写真内の右ページの絵は、ほぼ変わらずに日本語版に踏襲されている(下写真)。)

その後ずっとお蔵入りになっていたプロジェクトだったのだが、2019年ボローニャ絵本原画展に入選した際、西宮ぎゃらりーさんぽの一貫として、ギャラリーアライで個展を開く機会を与えていただいた。その展示を見に来てくださった、ご自身も生物屋さんの出版ワークスの編集者さんが出版を決めてくださったのだ。 
日本で出版するにあたり、環境を日本に置き換えた。巣も元々はブラックベリーの低木の中にあったのでアシの中に。
周りの植物もハンゲショウ、ミゾハギ、ヒメガマ、睡蓮、コナラなどを、横浜市内のもえぎの池などで取材しなおした。水の中の雰囲気が見たくて、ビデオをオンにしたカメラを池の中に下ろしたりもした。
ページ繰りや絵の構図もすべて再構成し、絵は版からすべて作り直している。
消しゴム判子とリノリウム版画、モノプリントという技法はそのままだ。10年前のダミー本と見比べると、版画を彫って擦るのが少しは上達した気がする。

上田恵介先生に鳥の生態の監修もお願いした。

10年越しに出版できた絵本、書店で見かけたら、お手に取って見ていただけたらうれしいです。