30 September 2021

拾いもの、捕獲もの

連休は近くの自然公園を歩く機会が多かった。チビも一度も「抱っこー」と言わずにずんずん歩くようになったので、同じ公園内でもこれまで辿り着けなかったエリアまで足を延ばせるようになった。この公園、もっと広くなかったっけ?と思ったり、こんな場所があるなんて知らなかったと思ったり。
あいかわらず外で望遠鏡スケッチ、風景スケッチなどはなかなかできないが、家に持って帰ってくれば、チビと一緒に絵が描ける。  
ウラムラサキシメジ
I brought this mushroom back home and sketched it with watercolour.   
Japanese Rat Snake's shedding skin.  I learned that in order to identify the species, you have to count the number of rows of scales around the body.    
蛇の抜け殻を拾った。体鱗列数を数えると25列くらいありそうなので、どうやらアオダイショウのようだ。

Very hungry caterpillars on our lemon tree... 
今年もベランダのレモンに大量の芋虫が!いつもはアゲハばかりなのに、今年はクロアゲハが卵を産んでくれたのでちょっとうれしい。
前蛹と蛹。
こちらは2匹目。チビを保育園へ送り、仕事をしようとコーヒーを入れていたら蛹化がはじまり、慌てて観察。ここ数年、庭のレモンから必ず終齢幼虫を捕獲して家で羽化させていたけれど、バタバタしていて蛹化も羽化も見逃していたので、久しぶりに見られてうれしかった。

3 September 2021

ひらがな

ずいぶん前から「鳥×あいうえお」は作りたいと思っていたので、チビが文字に興味を持ったこの春からのんびりと作りはじめた。鳥だと全く身近にいない種をたくさん入れなくてはならないので、生き物全般にした。
I started making Japanese Hiragana version of animals&plants alphabet as a personal project.  Even just with this normal hiragana series, there are fifty of them.  So I wonder if I will ever finish them... 
2歳半から文字を覚えさせ早期英才教育というつもりで作っているのではない。作りたいが先にあり、これが文字を覚える過程で有用かを見極めるには、チビが文字を覚えはじめる前でないと実験にならないという、母親のひどく身勝手な理由にチビが付き合わされている真っ最中なのだ。ずっと前からなぜか「の」だけは覚えていたのだが、他の文字にも興味を持ちはじめたので、慌てて作りはじめている。 
10個作って、まだ5分の1。そんなにノロノロ制作していたら、全部覚え終わる頃にはチビが中学生になっちゃうよーと夫にからかわれる。
Artistically, it's more fun to arrange the letters and use it as a part of drawing. But when I think of children and foreigners who don't even know the shape of the letter, I believe it is important to keep the letter simple, visible and in orthodox shape.
アーティストとしては、文字の一部を動植物で表したりというアレンジを加えたい気もしたが、その文字の形すら知らない人に教えるには、文字自体はできる限り一般的な形で、見やすくしたほうが良いと思った。実際にチビを見ていると、「り」や「さ」のように書体によって、くっついているものと離れているものがあると、同じだと認識しにくいらしい。 
選んだ生き物は、できる限り身近なもの、チビが知っているもの、そして動物園動物や園芸種ではなく日本の野生種にこだわり(イチョウは入れてしまったが)、いまのところ標準和名の頭文字でそろえるようにしている。あとから、あーあの種を入れればよかったーというのもいくらかあるけれど、作りながら考えているのでそのあたりは仕方ない。

春から1週間〜数週間に1文字ずつくらい出来上がったのもあり、チビはけっこう楽しんでくれている。新しく文字ができると、それを使って言葉ができないか考えるのがけっこう楽しい。 作った10文字を全部使って書ける言葉として、今の所思いついた最良がこれ。
朝起きたら、夫がこんなのをつくっていた。
インテリアとして家の中に飾ったり、並べ替えて遊んだり。よく目にするものは、気付けば覚えているのが子どもだから、ひらがなと、身近な生き物の名前も同時に覚えてくれたら良いなあと思っている。
うちのチビはすでにずいぶん生き物の名前を知っているので、「さ」の文字はなんだっけーとちょっと考えてサンコウチョウがいるから「さ」とやっている。これを作って以来、絵本を見ていていきなり、「これ、す!」とか言ってくるようになったので、文字への認識が高まったのも確か。今、イヌタデが花をつけているので、「い」についているこれだよーと見せてあげたりもしている。

母が、商品化できないかなあと、ずいぶんたくさんのプロトタイプを作ってくれた。
誰か商品化してくれないかなあ。

30 August 2021

花火

8月、近くの絵本文庫のお話会は、コロナで閉じてしまわないで、外で親子2組ずつに対して2冊ずつくらい絵本を読むという形をとってくださった。そこで読んでもらった2冊ともが花火のお話。『わにわにの おでかけ』は素朴な雰囲気の、でも多色摺りなので実際に作るのはとっても大変そうな、版画で描かれたお祭り風景がとても懐かしい感じで良かった。でもチビはお祭りも未体験で、綿飴もお面も金魚すくいも知らない。花火ですら絵本の中でしか知らなかった。
お祭りはできないけど、二晩つづけて、ちょっとだけ花火。
For us, fireworks are something to do with summer evenings and summer festivals. Since we couldn't have summer festivals for two years, my little one only knew about it in picture books.  So my mum bought a set of small fireworks and sparklers.   
小さい子には線香花火が一番。
ちょっと怖いと思っているくらいがちょうどよい。
でも何も考えずに火のついたロウソクにふらりと近づいたりするので、大人はひやひや。

このスケッチを元に、わにわにみたいな感じの木版画で作ってみたいけど、今は時間がないから、がまん。

28 August 2021

唯一描いた最近の生き物

暑さ、蚊、コロナ、風邪ひき3歳児、仕事の忙しさと揃うと、本当にどこにも行けなければ、まったく生き物スケッチができていない。涼しいところに座り込んで、数時間、鳥のスケッチとかしたいなあ。
7月終わりの夕方に、遊水地でさえずっていたホオジロ。
  A singing Meadow Bunting from some weeks ago.  
この暑いのに元気だなあ。
Three young kestrels were practicing to fly at the top of a tall building. 
遠くの高いビルの屋根の上でチョウゲンボウの幼鳥が3羽、飛翔練習をしていた。風をとらえてしばらく飛んでは、屋根の上に止まって休憩するのを繰り返していた。望遠鏡でのぞいてもまだ小さくしか見えなかったけれど、視野を固定したままずっと眺められるので、絵を描くのには良かった。
昨日の朝、ゴミ捨てに行ったら、マンションの玄関にウンモンスズメ。 なんだかうれしい一日のはじまり。

22 August 2021

2歳の"アブラム"

I made my little one's two-year-old album.  I want to preserve all the memories here.  And I think it will be useful when I want to write something for small children after she grows up and is no longer a child.     
今年も、2歳の間に撮り溜めた写真とスケッチをまとめてアルバムを作った。

  
これまで作った"アブラム"は、なんだかんだチビが一番良く眺めくれていてる。ここに書いたことがチビの小さい頃の記憶として残ってしまうのだと思うと責任重大な気もするが。
この一年は、ずいぶんチビがしゃべるようになったので、スケッチブックにメモしておいたチビの言葉や、チビが描いた絵もいくつか入れていった。
作りながら1年を見返していて、このコロナの状況のせいで、他の子どもと遊ぶ機会が本当に少なかったなあと思った。公園でたまたま一緒になった子とちょっと関わることはあっても、誰か名前の分かる子と何かをするような機会がちっとも持てていない。うちの子は一時保育に通っているので週に数日は保育園でほぼ特定の子と遊んでいる。でも本人の記憶にある限り両親としか遊んだことのない3歳児って案外いるのではないかと思って、ちょっと恐ろしくなった。 長引けば長引くほど成長過程の貴重な時期にやるべき何かをし損ねる子どもがいる。
かといって、今のデルタ株ウイルスの蔓延や救急医療の状況を思うと、家族以外と遊ぶのは怖い。
I made this linocut because I wanted to put one in the album.

9 August 2021

Third Birthday

My little one became three!!
チビが3歳になった。
毎年のように山の日のお休みに誕生日パーティ。
お昼ご飯に、夫がおいしいちらし寿司を作ってくれた。
 ケーキは今年も、従姉妹が上手にシフォンケーキを焼いてくれ、母と祖母とチビの3人で苦戦しながらなんとか飾り付け。その間に、わたしは従姉妹に焼いてもらったクッキーにチョコペンで文字と絵を描こうと苦戦した。温め続けないとスルスル出て来ず、すぐにダマになるので難しい! 従姉妹が気を効かせて、失敗した時用も含めて3枚も作ってくれていたので、2枚には電車を。
去年はケーキを前に固まってしまい、どうしても吹き消せなかったロウソクも、今年は「ロウソク ふっ。もひとつ ふっ」と絵本文庫のお話会の終わりの手遊び歌を歌いながら、上手に吹き消した。
「なんで ゆげが 出ているの?」「それは けむりだよ」
「なんでさ、ふーってやると きえるの?」
The bunting we hang up is the same one I made on her first birthday but, of course, I had to add the flag for the letter 3rd.  I asked her what she wanted me to draw there. Since I drew a Kingfisher last year, at first, she was saying "a Ruddy Kingfisher", but then she quickly changed her mind and picked the Narita Express, the fast train service to connect our area to the Narita Airport. So I tried.
季節からモチーフを選んだ1歳の誕生日と、子どもが知っている鳥を選んだ2歳、そして親が全く興味ないものを子どもの趣味で描かされる3歳。こうやって成長していくんだなあ。

7 August 2021

奄美・沖縄世界自然遺産登録記念

太平電機株式会社のECOひいきプロジェクトで作っている「地域の自然を守るタオル」が2種類入れられるギフトBOXのデザインをやらせていただいた。 奄美・沖縄の4地域が自然遺産に登録されたことを記念したものだ。
To celebrate Amami-Okinawa being added to the World Natural Heritage list, I was asked to design a special gift box to put two of the "towels to help protecting the local nature."  
中身の「地域の自然を守るタオル」の刺繍デザインもわたしがずっとやらせていただいており、これまでに奄美本島、徳之島、やんばる、西表島に生息する動物をモチーフに13種類が作られている。地域の自然を守るの言葉通り、基本的にはその種がいる島のお土産屋さんなどでしか売られていない商品だったが、今回は4島一緒に自然遺産に登録されたことを記念して約1年間のみ、それぞれの島で、別の島の代表種も買えるようになっているという。どこで何が買えるかは太平電機のページに詳しく載っているようなのでご覧ください。

ギフトBOXは南西諸島の森のイメージでとのことだったので、ヘゴを含むシダ類をアクリルガッシュで描いた。

29 July 2021

玄光社『絵本のいま』掲載

本日発売の『絵本のいま』(玄光社)に掲載していただいた。
My works are on 2021-22 edition of "Illustration FILE Picture Book," published by Genkosha, which is a catalogue type book showing illustrators' portfolio.
農学部を出てそのままイギリスに行ってしまい、帰ってからは主にかがく絵本を作るか、環境保護団体と仕事をしてきたので、これまで全く国内のイラストレーター業界と関わりなく過ごしてきてしまっていた。今回、何を見てか編集部から声をかけていただいたので、ちょっと一歩踏み出してみることに。

表紙と巻頭インタビューは岡田千晶さん。イラストレーター180名、文章家21名の作品が載っていて、2019年、2020年に話題になった絵本紹介、掲載作家によるこの期間の推し絵本1冊などが出ている。

20 July 2021

第23回フィールドスケッチ会

7月18日に大磯照ヶ崎でフィールドスケッチ会を開いた。(スケッチに書き込んだ日付はなぜか間違えて19日になっていた…)
公式報告はこちら
これまでアオバトスケッチ会は3回企画していたのだが尽く雨天中止になっていたので、今回の梅雨明けの快晴はうれしかった。
朝、大磯駅で参加者待ちをしていたけれど、誰も来ない! エリザベスサンダースホームの横を抜けて海岸へ向かうと、つぶやくような声でアーオ アオーというアオバトの鳴き声が聞こえた。
照ヶ崎には現地集合の参加者とヒヨ吉さんはいらしていて、しばらくして始発でも集合時間には間に合わなかったという方が合流してくださった。朝早く都心から遠い場所での開催だった割に参加者4名+主催者2名! 
防波堤の陰に入って座っていると、ちょうど良い風も海から吹いて来て、暑すぎずることもなく快適だった。炎天下に立っているカメラマンはさぞかし暑かっただろう。
We held the field sketching event on the 18th July at Terugasaki in Oiso. It's the only rocky coast among a long sandy beach facing the Sagami Bay, where flocks of White-bellied Green Pigeons come to drink sea water.
For the last few months I hadn't been able to spend much time to do field sketch of birds.  So it was very nice to sit down for a long time with a field scope and sketchbooks.  
色鉛筆は小学生の頃は愛用していたのだが、中学から完全に水彩になってしまい、それ以来あまり手をつけない画材になってしまっていた。でもチビと一緒に絵を描くときに使う機会が増えて親しんできたので、今回も数十本持っていった。家に100色はあるので、大磯のアオバトを描くことを考えて色を選んでいったのだが、黄色の色は選色を失敗したなあと思った。もっと薄い、よりオレンジ味の少ない黄色を持っていくべきだった。反省会でそのことを話したら、長年アオバトを観察、研究しているしているグループ「こまたん」の方が、今日は快晴だからね!っとおっしゃっていた。確かに天気によっても見え方が違うから、これぞという色は、似たような色でも数色持って行かなくてはだめなんだなあ。水彩の良い所は、その場で混ぜてこれと思った色が作れるところ。
アオバトは海水を飲みにきているので、飲んでいるポーズを描きたいと思ったのだが、上を向いてあたりを見回している時間のほうが長かったり、飲んでいる時は肝心の顔が下を向くので岩などに隠れて見えなかったりして難しい。
緑の色鉛筆で形をとるのは良いアイディアだった気がする。

今回は飛んでいるアオバトスケッチまではまったく手がまわらなかったので、また今度挑戦したい。

15 July 2021

Foreign Editions of my Sakura book

I am over the moon to receive the English and Korean edition of my sakura book in my hand!  Both editions are printed on matted paper and maintained the feels of the original book well! 
『さくらがさくと』の英語版と韓国語版がこの春に出ている。自分で企画し、文も絵も書いた本が、海外の出版社にも評価されたというのはとても誇らしい。

 英語版『When the Sakura Bloom』 
Text&illustration by Narisa Togo, English adaptation by Michael Sedunary. Published in 2021 by Berbay Publishing, Melbourne. 
ISBN 978-0-6489533-1-9
 
韓国語版『벚꽃이 피면』 
도고 나리사 글·그림 | 황진희 옮김 
길벗어린이(published in 2021 by Gilbut Children Publishing, Paju.)
ISBN 978-89-5582-602-9 77830
The English Version was actually the outcome from my Bologna trip back in 2019.  I showed some of the spreads from this book in my portfolio to the editor of Berbay books and the editor liked them. So I sent the entire book PDF when the book was out from the Japanese publisher. 
ボローニャに入選してブックフェアに出かけた2019年、まだ作りかけだった桜絵本から4見開きほどポートフォリオに入れて、いくつかの出版社にお見せした。このオーストラリアの出版社の編集者が葉桜のシーンがきれいだととても気に入ってくださったので、昨年本が出たときに改めて全ページのPDF、英訳とともにメールでお送りしてみたところ、なんと福音館書店宛にオファーメールをくださったのだ。 英語の絵本は簡単に各国語に訳されるけれど、別言語から英語に訳されることは珍しい。だからこんな機会をいただけてとっってもうれしかった。
色味は、英語版がちょっと白っぽく、韓国語版がちょっとピンクっぽいかもしれない。 英語版は、絵にはまったく手を入れられていないので、看板などの文字は日本語のまま。韓国語版は絵の中まで丁寧に翻訳されている。屋台のチョコバナナは、わたしの絵と同じように水色とピンクのトッピングをつけてくださっている! そして提灯の「さくらまつり」の文字までちゃんとハングルなのだ。